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仙台・宮城のM&Aで許認可は引き継げるか|会社売却前に確認したい行政手続き

2026 5/10
コラム
2026年5月10日
仙台・宮城のM&Aで許認可を確認する経営者向けアイキャッチ

仙台市・宮城県で会社売却や事業承継型M&Aを検討する経営者にとって、許認可の承継は見落としやすい一方で、成約可否に直結する重要論点です。建設業、産業廃棄物処理、運送、介護、医療関連、飲食、旅館・ホテル、警備、古物、派遣、酒類販売、宅地建物取引など、行政の許可・認可・登録・指定・届出に支えられている事業では、株式や事業用資産を移せば当然に営業を続けられるとは限りません。手続きの確認が遅れると、買い手候補との条件交渉が進んだ後で、許可の取り直し、代表者・役員要件、管理者要件、施設基準、標識や帳簿、行政への事前相談が必要だと分かることがあります。

M&Aでは、譲渡価額、従業員の雇用、取引先の継続、社長の引継ぎ期間に目が向きやすいものです。しかし、許認可がなければ売上を立てられない事業では、許認可の扱いこそが事業価値の前提になります。特に事業譲渡では、法人格が変わるため許認可が当然に移らないケースが多く、買い手が新たに許可を取得するまで営業できない期間が生じる可能性があります。株式譲渡でも、代表者変更、役員変更、所在地変更、支配権変更、欠格事由、専任技術者や管理者の継続などを確認しなければなりません。

本記事では、仙台・宮城の中小企業オーナーがM&Aを進める前に確認したい、許認可・行政手続きの実務を売り手目線で整理します。個別制度の細かな要件は業種や自治体、所管行政庁によって異なるため、本記事では共通する考え方、買い手が確認するポイント、基本合意・最終契約・PMIへの反映方法を中心に解説します。実際の手続きでは、必ず所管行政庁、行政書士、弁護士、税理士、M&Aアドバイザーなどに最新情報を確認してください。

目次

許認可は「会社の価値そのもの」になることがある

中小企業のM&Aでは、許認可が単なる事務手続きではなく、会社の価値そのものになることがあります。たとえば、建設業許可を持つ会社では、元請・下請取引、公共工事、技術者配置、工事実績が許可と密接に関係します。介護事業では指定、人員基準、運営基準、施設基準が収益の前提になります。運送業では車両、営業所、休憩施設、運行管理者、整備管理者などが事業継続に関わります。飲食業では営業許可、食品衛生責任者、店舗設備、賃貸借契約が営業継続の条件になります。

買い手は、許認可の名義、更新期限、要件充足、行政指導の履歴、違反歴、処分歴、変更届の提出状況、帳簿や標識の整備状況を確認します。なぜなら、買収後に許可が使えない、更新できない、管理者が退職する、施設基準を満たしていない、行政への届出が漏れていたと判明すれば、売上計画が崩れるからです。M&Aにおける許認可確認は、買い手の安心材料であると同時に、売り手が適正な評価を受けるための材料でもあります。

売り手が「長年問題なく営業してきたから大丈夫」と考えていても、M&Aでは別の視点で確認されます。普段の営業では問題にならなかった変更届の遅れ、役員変更の未届、古い施設図面、管理者の名義貸しに見える運用、実態と書類のずれが、譲渡前の審査で論点になることがあります。既存記事「会社売却で起こりやすいトラブルと事前対策」でも触れている通り、譲渡前に見える化しておくことが、成約後のトラブル予防になります。

仙台・宮城のM&Aで許認可を確認する手順

株式譲渡と事業譲渡で許認可の扱いは変わる

許認可を考えるうえで最初に整理したいのは、M&Aのスキームです。株式譲渡では、原則として許認可を持っている法人自体は同じまま株主が変わります。そのため、法人名義の許認可は形式上その法人に残ることが多い一方で、代表者変更、役員変更、支配権変更、欠格事由、専任者・管理者の継続、所在地や営業所の変更などについて、届出や承認が必要になることがあります。株式譲渡なら何も手続きがいらない、とは考えない方が安全です。

事業譲渡では、許認可を持っている法人から別の法人へ事業の全部または一部を移すため、許認可をそのまま移せないケースが多くなります。買い手が新規に許可を取得する、譲渡前に施設や人員要件を整える、一定期間は売り手が営業を継続しながら買い手の許可取得を待つ、許可取得をクロージング条件にするなど、案件ごとの設計が必要です。会社分割、合併、事業譲渡、株式譲渡では手続きが異なるため、制度ごとに確認しなければなりません。

売り手は、買い手候補からスキーム提案を受けたときに、税務や価格だけでなく許認可の継続性も確認しましょう。たとえば事業譲渡の方が簿外債務リスクを切り離しやすい一方で、許可の取り直しが必要になり、営業空白や追加費用が発生する可能性があります。株式譲渡は許認可の継続性を保ちやすい場合がありますが、株式・負債・労務・契約を包括的に引き継ぐため、買い手側のデューデリジェンスは厳しくなります。条件交渉では「M&A交渉で売り手が確認したい条件」の観点とあわせて検討することが重要です。

許認可デューデリジェンスで確認される資料

買い手が許認可を確認する際に求める資料は、業種によって異なりますが、共通する資料があります。許可証、認可証、登録通知、指定通知、届出控え、更新申請書、変更届、行政からの通知、指導記録、検査記録、施設図面、営業所一覧、車両一覧、資格者・管理者の資格証、役員名簿、株主情報、従業員名簿、賃貸借契約、設備台帳、帳簿、マニュアル、標識掲示の写真などです。これらを一つのフォルダに整理しておくと、買い手の確認が円滑になります。

許認可資料で注意したいのは、現在の営業実態と書類の内容が一致しているかです。営業所を増やしたのに届出をしていない、役員変更後の届出が遅れている、管理者が実際には常勤していない、施設レイアウトが許可時と変わっている、更新期限の管理が属人的になっている、といったずれはM&Aで顕在化します。買い手は、許認可そのものだけでなく、会社が行政手続きを適切に管理できているかを見ています。

売り手は、許認可の一覧表を作る際に、許認可名、所管行政庁、番号、名義、対象事業、営業所、取得日、更新期限、次回更新予定、必要な有資格者、届出が必要な変更事項、過去の行政指導、違反・処分の有無、買い手への承継可否、確認先を記載しましょう。既存記事「会社売却前に準備したい資料チェックリスト」に、許認可欄を追加するイメージです。資料が整っているだけで、買い手の印象は大きく変わります。

業種別に見落としやすいポイント

建設業では、建設業許可の種類、経営業務管理責任者や専任技術者に相当する体制、営業所、工事経歴、社会保険加入、財務要件、公共工事の入札参加資格などが論点になります。M&A後に資格者が退職したり、代表者交代で要件確認が必要になったりすると、買い手の事業計画に影響します。許可の更新期限が近い場合は、譲渡前後のどちらで更新するかも検討します。

介護・福祉事業では、指定、管理者、サービス提供責任者、人員配置、加算、運営指導、処遇改善、施設基準、利用者への説明、行政への変更届が重要です。買い手は、指定が継続できるかだけでなく、加算の算定根拠や過去の返還リスクも確認します。利用者、家族、ケアマネジャー、従業員への説明順序もPMIに直結します。承継の情報が不安定に伝わると、利用者離脱や職員退職につながる可能性があります。

運送業では、営業所、車庫、休憩施設、車両、運行管理者、整備管理者、点呼記録、乗務員台帳、労働時間、行政監査、事故履歴が確認されます。M&A後に車庫や営業所を変更する場合、手続きや要件確認が必要です。買い手が別地域の事業者である場合、仙台・宮城の営業所をどう位置づけるか、管理体制をどう移すかも論点になります。

飲食・宿泊・食品関連では、営業許可、食品衛生責任者、施設基準、消防、旅館業、酒類販売、深夜営業、テナント契約、設備の所有関係が確認されます。株式譲渡で法人が同じでも、店舗改装や代表者変更、営業者情報の変更が必要になる場合があります。事業譲渡では買い手が新たに許可を取得する前提で、引渡日、営業休止期間、在庫や設備の扱いを設計します。

警備、古物、産業廃棄物、派遣、有料職業紹介、宅地建物取引なども、役員・管理者・営業所・欠格事由・帳簿管理が重要になりやすい分野です。これらの事業では、売上や利益だけを見ても承継可能性を判断できません。買い手は、許認可を維持できる組織体制まで含めて評価します。売り手は、業種ごとの要件を一般論で判断せず、所管行政庁と専門家に確認する姿勢が必要です。

M&Aで許認可承継を検討するときに買い手が確認する論点

行政への事前相談は誰が、いつ行うべきか

許認可が重要な事業では、行政への事前相談のタイミングが難しい問題になります。早すぎる相談は情報管理のリスクがあり、遅すぎる相談は手続きが間に合わないリスクがあります。一般的には、初期段階では売り手側で許認可一覧を作成し、秘密保持契約後に買い手候補と論点を共有し、基本条件が見えた段階で行政書士など専門家を交えて所管窓口への確認を検討します。実際に行政へ相談する前に、どの法人名で、どのスキームで、どの時点の変更を想定しているのかを整理する必要があります。

行政への相談では、曖昧な説明を避けることが重要です。「会社を売る予定ですが許可は大丈夫ですか」と聞いても、正確な回答は得にくいでしょう。株式譲渡なのか、事業譲渡なのか、合併なのか、会社分割なのか、代表者や役員は変わるのか、営業所や施設は変わるのか、管理者や有資格者は残るのか、許可名義は誰か、更新期限はいつかを整理して相談します。必要に応じて、相談記録を残し、買い手と共有できる形にしておきます。

ただし、行政への相談内容は案件の秘匿性にも関わります。M&Aの情報が従業員、取引先、利用者、地域に広がると、交渉そのものに影響する可能性があります。秘密保持については「M&A相談を秘密に進めるための注意点」も確認してください。行政相談を行う場合でも、誰が窓口になるか、社名を出す段階か、匿名相談が可能か、資料にどこまで具体名を書くかを慎重に決めるべきです。

基本合意・最終契約に反映すべき許認可条件

許認可の承継リスクは、契約条件に反映させる必要があります。基本合意書では、許認可の確認をデューデリジェンスの重要項目とすること、行政手続きへの協力義務、必要な届出・承認・新規取得の方針、許認可が維持できない場合の扱いを記載します。最終契約書では、許認可に関する表明保証、クロージング前提条件、誓約事項、補償条項、解除事由、引継ぎ協力義務を具体化します。

たとえば、売り手は「対象会社が事業に必要な許認可を有しており、重要な取消・停止事由を認識していない」と表明する一方で、開示済みの行政指導や更新手続き中の事項は別紙に記載します。買い手が新規許可を取得する必要がある場合は、取得できることをクロージング条件にするのか、取得前に譲渡するが営業開始日を調整するのか、売り手が一定期間営業協力するのかを決めます。これらを曖昧にすると、譲渡後に「聞いていた事業がすぐにできない」という紛争につながります。

許認可に関する表明保証は、前回の記事「表明保証・補償条項の読み方」とも深く関係します。売り手が把握していない細かな違反まで無制限に責任を負うのか、重要な許認可に限定するのか、開示済み事項は除外するのか、補償期間や上限をどうするのかを検討します。契約書は必ず弁護士など専門家に確認してもらい、許認可の所管専門家とも連携することが望ましいです。

許認可の承継はPMI計画に入れる

許認可はクロージング前の確認だけで終わりません。譲渡後のPMIにも組み込む必要があります。代表者変更、役員変更、管理者変更、標識変更、帳簿管理、更新期限管理、行政への報告、従業員研修、施設・設備の維持、事故・苦情対応などは、買い手が承継後に運用しなければならない事項です。売り手が社長の経験で管理していた場合、買い手が同じ水準で運用できるように引継ぎ資料を作る必要があります。

たとえば、介護事業では運営指導に備えた書類管理、加算要件、研修記録、苦情対応記録が重要です。運送業では点呼、運行記録、事故報告、労働時間管理が必要です。建設業では技術者配置、工事経歴、契約書類、社会保険関係が確認されます。飲食業では衛生管理、設備維持、責任者変更、保健所対応が必要です。これらは単なる許可証の引渡しではなく、日々の管理業務の承継です。

PMI計画には、許認可ごとの更新期限、届出期限、責任者、必要資料、行政窓口、買い手側担当者、売り手の協力範囲を明記しましょう。「譲渡後のPMIに向けて売り手が準備できること」で述べたように、譲渡後の混乱を減らすには、契約前から引継ぎの粒度を決めておくことが重要です。許認可管理は、買い手のガバナンス体制を整える入り口にもなります。

匿名モデル事例:許認可確認で譲渡スキームを変更したケース

ここでは、実在企業の事例ではなく、複数の中小M&A実務で見られる論点を組み合わせた匿名のモデル事例として説明します。宮城県内で設備工事と保守を行うA社は、後継者不在を理由に同業のB社へ事業承継を検討していました。当初、B社は必要な資産と従業員だけを引き継ぐ事業譲渡を希望していました。簿外債務や不要資産を切り離しやすく、買い手側には分かりやすいスキームだったためです。

しかし、デューデリジェンスで許認可を確認したところ、A社の主要顧客との契約、技術者体制、行政手続き、保守案件の継続が法人名義の許可と密接に結びついていることが分かりました。事業譲渡にするとB社側で新たな許可取得や契約再締結が必要になり、数か月の営業空白が生じる可能性がありました。また、主要技術者の一部はA社に長く勤務していましたが、B社へ転籍する条件がまだ固まっていませんでした。

そこで売り手・買い手・専門家で協議し、最終的には株式譲渡を基本にしつつ、譲渡前に不要資産と役員貸借を整理し、許認可に関する変更届や更新期限を一覧化する方針に変更しました。基本合意書には、主要許認可の維持、専任者の継続、行政手続きへの協力、金融機関・主要取引先への説明順序を記載しました。クロージング後は、B社側の管理部門が許認可台帳を引き継ぎ、更新期限と届出期限を管理するPMI計画を作りました。もし許認可確認を後回しにしていたら、譲渡スキームそのものを終盤で見直す必要があったでしょう。

売り手が今日からできる許認可チェック

売り手がまず行うべきことは、許認可の棚卸しです。社内の壁に掲示している許可証だけでなく、過去の申請書、更新書類、変更届、行政通知、メール、顧問行政書士とのやり取りを確認します。次に、許認可ごとの要件を整理します。法人要件、役員要件、管理者要件、資格者要件、施設要件、財務要件、帳簿要件、標識要件、更新要件を分けて書き出します。三つ目に、現状との差分を見ます。届出漏れ、更新期限、資格者の退職予定、施設変更、役員変更、行政指導履歴がないかを確認します。

四つ目に、M&Aスキームごとの影響を整理します。株式譲渡なら何が必要か、事業譲渡なら何が必要か、合併や会社分割ではどうなるかを専門家に確認します。五つ目に、買い手候補へ開示する資料を準備します。許認可一覧、証書の写し、更新期限表、行政指導の有無、管理者・資格者一覧、営業所・施設一覧をまとめます。六つ目に、引継ぎ後の管理方法を考えます。更新期限を誰が管理するか、行政対応の窓口を誰にするか、従業員への説明をいつ行うかを決めます。

この整理は、会社売却をすぐに決めていない段階でも有効です。許認可の状態が整っている会社は、親族内承継、従業員承継、第三者承継のいずれでも選択肢が広がります。逆に、許認可管理が属人的で不透明な会社は、買い手候補から追加調査や条件調整を求められやすくなります。はじめてM&Aを考える方は「会社売却を考え始めたら最初に確認したいこと」も参考にしてください。

許認可リスクを価格・条件へどう反映するか

許認可に不確実性がある場合、そのリスクは譲渡価額、支払方法、クロージング条件、補償条項、引継ぎ期間に反映されます。買い手から見ると、許認可が安定して引き継げる会社は、買収後の売上見通しを立てやすく、PMIの難度も下がります。逆に、許可取得に時間がかかる、管理者の退職可能性がある、行政指導の履歴がある、更新期限が近い、営業所や施設基準に不安がある場合は、買い手が価格調整や追加条件を求めることがあります。売り手は、許認可リスクが価格だけで処理されるとは限らないことを理解しておく必要があります。

たとえば、買い手が新規許可を取得するまで営業できない期間がある場合、その間の固定費、従業員給与、家賃、車両費、リース料、顧客離脱リスクを誰が負担するかが問題になります。売り手が譲渡後も一定期間営業主体として協力する場合、協力期間中の責任、報酬、意思決定権限、事故やクレーム発生時の対応も決めなければなりません。単に「許可取得に協力する」と書くだけでは不十分で、必要な書類、行政対応、従業員説明、取引先説明、費用負担を具体化することが重要です。

許認可リスクを契約に反映する方法としては、許可取得や行政承認をクロージング条件にする、譲渡代金の一部を後払いにする、特定の許認可が維持できない場合の解除権を設ける、開示済み事項を表明保証の例外にする、売り手の補償範囲を限定する、買い手の新規許可取得努力義務を定める、売り手の引継ぎ協力義務を期間限定で定める、といった選択肢があります。どれが適切かは、許認可が売上に与える影響、リスクの原因、売り手と買い手のどちらがコントロールできる事項かによって変わります。

売り手にとって避けたいのは、許認可に関する論点を隠したまま高い価格で合意し、最終契約直前や譲渡後に問題化することです。その場合、買い手の信頼を失い、価格再交渉や補償請求につながる可能性があります。反対に、早い段階で許認可リスクを整理し、改善できるものは是正し、残る論点は開示別紙や契約条件へ落とし込めば、買い手は合理的に判断できます。M&Aでは、問題が存在することよりも、問題の大きさが分からないことの方が交渉を難しくします。

仙台・宮城の地域企業では、行政窓口、金融機関、主要取引先、資格者、現場責任者との関係が近く、許認可リスクがそのまま地域での信用に影響することがあります。だからこそ、売り手は「許可証を渡せば終わり」と考えず、許認可を支えている人員、施設、帳簿、運用、行政対応の実態まで買い手に伝えるべきです。これは売り手を守るだけでなく、従業員や顧客、利用者、取引先にとっても安定した事業承継につながります。

買い手候補へ開示する順序も重要

許認可資料は、秘密保持契約を結ぶ前からすべて開示すべきものではありません。許可番号、営業所、資格者名、顧客情報、行政指導履歴などには機微な情報が含まれることがあります。初期段階では、許認可の種類、所管、更新期限、事業継続上の重要度を抽象化して説明し、秘密保持契約後に証書や詳細資料を開示する流れが現実的です。さらに買い手候補が絞られた段階で、行政相談の要否、専門家確認、契約条件への反映を進めます。

開示順序を誤ると、情報漏えいだけでなく、買い手候補の誤解も生まれます。たとえば、更新期限が近い許可がある場合、単に期限だけを伝えると買い手は大きなリスクと受け止めるかもしれません。しかし、過去の更新実績、必要書類、要件充足状況、更新準備の進捗をセットで説明すれば、リスクの見え方は変わります。売り手は、許認可資料を出すだけでなく、買い手が判断できる文脈を添えることが大切です。

期限管理も開示の重要な一部です。許可や指定の更新期限、変更届の提出期限、役員変更後の届出期限、管理者変更時の届出期限、行政報告の提出時期を一覧にし、クロージング予定日との関係を確認します。たとえば、更新期限の直前に株式譲渡を行うと、旧体制で更新するのか、新体制で更新するのか、行政への説明をどうするのかが問題になります。更新書類の準備担当者が旧代表者や古参社員だけに限られている場合、その人が退職・退任した後の運用も設計しなければなりません。

担当者引継ぎでは、単に「行政書類はこの棚にあります」と伝えるだけでは足りません。どの窓口に誰が連絡していたのか、過去にどのような指摘を受けたのか、更新時に毎回追加確認される資料は何か、現場で気をつけている運用は何か、行政から電話が来たとき誰が判断していたのかを文章化します。これらは決算書には表れませんが、買い手にとっては事業継続の重要情報です。許認可を支える「暗黙知」を引き継ぐことが、地域密着型企業のM&Aでは特に大きな意味を持ちます。

また、許認可の担当者が従業員である場合、その従業員の雇用条件や退職可能性も同時に確認します。資格者や管理者が承継後も残る前提で価格や契約条件を決めるなら、本人への説明時期、処遇、役割、買い手との面談機会を設計しておく必要があります。

公的情報・一次情報で確認すべきこと

許認可は制度ごとに根拠法令、所管行政庁、手続き、必要書類、処理期間が異なります。そのため、インターネット上の一般解説だけで判断せず、公的情報や一次情報を確認することが重要です。中小企業庁は、事業承継において引き継ぐ要素として経営、資産、知的資産を整理しており、知的資産にはノウハウ、取引先との人脈、顧客情報、知的財産権、許認可などが含まれると説明しています。M&Aを社外への引継ぎとして位置づけている点も、売り手が許認可を含めて事業の引継ぎを考える根拠になります。

参考情報として、中小企業庁「事業承継を知る」、中小企業庁「中小M&Aガイドライン」、中小企業庁「事業承継の支援策」、e-Gov「法令・くらしの安心」を確認してください。仙台市や宮城県が所管する手続きについては、各自治体や所管部署の公式情報、行政窓口、専門家への確認が必要です。

よくある質問

株式譲渡なら許認可はそのまま使えますか

法人自体が同じであるため、事業譲渡より継続しやすいケースはあります。ただし、代表者変更、役員変更、支配権変更、管理者・資格者の継続、所在地変更、欠格事由などについて届出や確認が必要になることがあります。制度ごとに扱いが異なるため、株式譲渡だから何もしなくてよいとは考えないでください。

事業譲渡では許可を買い手へ移せますか

多くの許認可では、別法人へ当然に移せるとは限りません。買い手が新たに許可を取得する、営業開始日を調整する、売り手が一定期間協力する、許可取得をクロージング条件にするなどの設計が必要です。個別制度の確認が必要です。

行政へ相談するとM&Aの情報が漏れませんか

情報管理には配慮が必要です。相談前に、誰が窓口になるか、匿名相談が可能か、どの段階で社名を出すか、どの資料を提示するかを専門家と決めておきましょう。行政確認が遅すぎると手続きが間に合わない可能性もあるため、秘匿性と実務期限のバランスが重要です。

まとめ:許認可の棚卸しは会社価値を守る準備

仙台・宮城の中小M&Aで許認可が関係する事業を譲渡する場合、許可証の有無だけでなく、スキーム、名義、更新期限、役員・管理者・資格者、施設、帳簿、行政指導、届出漏れ、PMI後の運用まで確認する必要があります。許認可の承継可能性を早めに整理すれば、買い手候補への説明が具体的になり、譲渡価額や契約条件の交渉も安定します。逆に、終盤で許認可の問題が見つかると、クロージング延期、価格調整、スキーム変更、取引中止につながる可能性があります。

許認可は、会社の営業力、信用、従業員の資格、現場の運用、行政との関係が凝縮された資産です。会社売却や事業承継を検討している方は、譲渡先探しと並行して、許認可一覧と行政手続きの棚卸しを始めてください。仙台M&A総合センターでは、仙台市・宮城県の中小企業オーナー向けに、秘密保持に配慮しながら、会社売却、事業承継、許認可確認、買い手候補との条件整理をサポートしています。ご相談は「売り手向け相談」または「お問い合わせ」からご連絡ください。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別案件に対する法務・税務・行政手続き上の助言ではありません。許認可の承継、変更届、更新、新規取得、欠格事由、施設基準、契約書への反映については、所管行政庁、行政書士、弁護士、税理士などの専門家にご相談ください。

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